沖縄を訪ねて’11(工房綾)

先月9月末になりますが沖縄に仕入れに行ってきました。
当店オープン前の5月に行ったときのことと合わせて作り手のご紹介。

 

当店取扱の萬羽綾子(ばんばあやこ)さん。
工房綾として読谷村にて作陶されています。

新潟生まれの萬羽綾子さんですが、琉球陶器やちむんに魅せられ二十歳そこそこで沖縄へ。
金城敏男氏と照屋佳信氏に計10年師事の後、2007年に独立されました。
壺屋の伝統を継承する巨匠の下、登り窯焼成という厳しい環境で確かな技術と経験を得たようです。

窯出しで焼き上がりを確認する綾さん

製作途中の器たち

 
そんな綾さん(バンビやバンちゃんという愛称で呼ばれることが多いようです)の作るやちむん。
壺屋伝統の線彫り掻き落としや染付の筆には大胆さと勢いがあります。
そして伝統的なものだけではなく、オリジナリティ溢れる形のものも素敵です。

しかしそこは女性、綾さんのやちむんには自ずとかわいさが同居しています。
シブい仕事のものもどこか柔和な雰囲気になりますが、だからと言って甘くなりすぎることもない。

伝統と革新、力強さと柔らかさ、そのあたりのバランス感覚が絶妙なんだと思います。

 
口調がおっとりのんびりのため、当初ポワーンとしたイメージでした。
しかし話をするにつれて感じたのは、沖縄らしくイイ意味でマイペースですがとても芯が強い!

仕事に厳しく研究も熱心です。
器について話すときに、口調は変わらずですが(失礼…)まっすぐな眼差しで言葉を選んで話されるのが印象的でした。
釉薬の具合や染付の絵も途上のようで、まだまだ理想を求めて試行錯誤しているようです。
綾さんとは同学年、その情熱に負けないように売る側も頑張ります!

 
といったものの綾さんのやちむんは大人気で、入荷してもすぐになくなってしまいます…。
写真のものも載せる前に売れてしまったのですが、11月中旬以降年内に!?いろいろ届く予定です!

染付トールカップ(Φ8.5xH10/¥1,470)、線彫り刺身皿(W26.5xD15/¥3,270) ともに萬羽綾子


沖縄を訪ねて’11(ガラス工房清天)

先月9月末になりますが沖縄に仕入れに行ってきました。
当店オープン前の5月に行ったときのことと合わせて作り手のご紹介。

 

沖縄本島中部の読谷村(よみたんそん)は那覇から車で1時間ほど。
南に若者と駐留米軍の賑わう北谷町、北は西海岸リゾート恩納村と隣接しています。
ダイビングでも有名な綺麗な海や絶景の岬、座喜味城跡、そしてやちむんの里などが見所でしょうか。
自然も残っていて、程々にのんびりしたイイところなんです!

 
当店取扱の「ガラス工房 清天(せいてん)」の琉球ガラスは、その読谷村の工房で作られています。
松田清春親方とお弟子さんの職人数名による工房です。

工房内での作業の様子はとにかく素早い!
職人さん同士がパッパッと入れ替わる際や、共同作業時の動作など圧巻です。
そして1200℃を超える炉でガラスを扱うため、近くでは熱風も吹きかなりの暑さ…。
皆さん厳しい表情で作業されてますが、別日に販売所で親方にお会いした際はニコニコでした。
(いただきものの新しいシーサーを門に設置しているところでゴキゲン♬)

 
琉球ガラスは駐留米軍が使用したコーラやビールの瓶を原料に、お土産品として作られていました。
温度変化の激しい再生ガラスゆえ成形が難しく、気泡が入ったり厚みが出たりしやすいのですが、それを素朴なデザインとして活かしてきました。

清天さんでは泡盛の一升瓶の廃瓶を砕いて溶かし、新たなガラス器へと吹き直し再生!
琉球ガラスはリサイクル素材でエコな器でもあり、現在は工芸品として評価されています。

使い込まれた炉のある工房内

向かいがサトウキビ畑でのどかな販売所

 
その清天さんの琉球ガラス、以前(8/25のblog)にも書きましたが実用性とデザインのバランスがイイんです!
実用だけでシンプルにしすぎると、東南アジアや中国からのものと一目での区別が難しくなります。
またデザインしすぎてしまうと、作品といった感じになり日用品感が薄くなってしまいます。
そういうバランスって紙一重なこともありますが本当に難しい…。

 
現在清天さんでは沖縄県外の業者の注文を受けておられません。
ですので他府県での取扱が難しい状況ですが、少しでもお店でご紹介できればと思います。

一口ビアグラス(Φ5.3xH11cm/¥1,680/ガラス工房清天)


W加藤を訪ねて’11夏(仁志さん編)

8月の21日から24日にいただいた夏季休業、実家への帰省とともに仕入れにも行ってきました。

 
8月22日(火)
岐阜県土岐市の加藤仁志さんの工房へお邪魔してきました。

少しだけ早く着いたので、すぐ側の「道の駅 志野・織部」へ。
名前からして美濃焼の里に来た感が高まります!
売られていた野菜を物色すると美味しそうで安く、帰りに寄ることを決める。

そして工房へ向かうと、仁志さんは素焼きの窯出し中でした。

出されたばかりの白化粧された粉引の鎬(しのぎ)カップ。まだほんのり温かかったです。

しかし、当店で取扱っているのは同じく鎬ですが白磁のほう。
最近は粉引の仕事の方が多いそうですが、いやいやどうして白磁もまたイイんですっ!
青みがかった古色風の色合いに、わずかに入る鉄粉。
女の人の多くが好きなテイストの白磁じゃないでしょうか?

そしてコチラは実際に見てもらってからか、個展でしか出されない穴窯で焼かれた白磁。
写真ではわかりませんが、ところどころ釉薬が流れたり灰が被ったりして窯変しています。
(手前の鎬の碗はガス窯焼成のもの)

注文してある通常のガス窯の白磁がもう少しかかるとのことで、少し分けてもらいました。

 
加藤仁志さんは岐阜県土岐市の生まれ。
大阪芸大や土岐の陶磁器試験場を出られ、2004年より独立されています。
仁志さんとは歳の差1つ、東海地方生まれで学生時代関西在住、0歳児の父とまたまた共通点が多く、前回の智裕さん同様に勝手に親近感を持っています♬

そんな彼が作る器はシンプルで実用的で、とても優しく柔和な雰囲気。
ご本人の人柄がホントによく表れています。

白磁鎬飯碗(Φ12xH5.7cm/¥2,520)と穴窯白磁面取マグカップ(持ち手含まずΦ9xH7.5cm/¥3,360)